どんなお酒も美味しくなる「錫製の酒器(錫器)」日本酒好き必見!裏技もご紹介

こんにちは、みやび(@miyabina_blog)です。

今日は日本酒好きさん必見の記事を書きました。

ご紹介するのは「錫器(すずき)」です。
錫(すず)で出来た食器や酒器のこと

唐突ですが、ワインには原料のブドウの種類ごとにそれぞれ適したワイングラスが商品化されています。
ですが日本酒にはそれがないですよね。

山田錦にはこのグラス、五百万石はこのグラス、酒米によって飲む酒器を変えるなんてことは日本人はしません。

ですが、全てのお酒を美味しくする酒器があるのは知っています。
お酒だけではありません、水などの飲料すべてを美味しくします。

それが「錫(すず)製の酒器」です。

今日はそんな魔法のような「錫製の酒器(錫器)」についてご紹介します。

この記事を読めば、日本酒好きさんは更に日本酒好きに、日本酒があまり得意でない方もツウぶれますよ(笑)

錫(すず)とは

【錫の歴史】

錫器の歴史は今から3500年前、古代文明にまで遡ります。

エジプトで出土した巡礼者の壺が世界最古の錫器と言われています。

錫は錆びにくく柔らかい、加工しやすいことから世界中で愛されてきました。

錫は、ヨーロッパではイギリスを中心にピューター(pewter)と呼ばれ、錫を主にアンチモンや銅などを加えた合金材で、柔らかい錫に多少の硬さを持たせたものです。
これを加工し、器にするのが主流でしたが、今も昔も錫の希少性は高く、12世紀頃までは上流階級の間でしか出回らないものが多かったそうです。

ちなみにですが、ブリキは鉄板に錫メッキを施したものなので錫ではありません。
そして、鉄板に亜鉛メッキを施したものはトタンと言います。

日本には、約1300年前(飛鳥・奈良時代)に中国から錫器と錫師の技術が伝わりました。

京都の丹波地方では、日本初の錫鉱山が開かれ、そこから大阪を中心に錫器作りの文化が根付いていったのです。

【錫の効果】

錫は金・銀に続いて高い価値をもつ金属です。

昔から「錫器の水は腐らない」と言われており、中国では錫を井戸に沈めて水を浄化していました。

錫は分子が粗く不純物を吸収する性質があります。
錫イオンが水中の各種雑菌の繁殖を防ぐために水が腐りにくく、切り花などが長持ちするのです。

これが大気中になるとその効果は発揮されません。


また、錫は熱伝導率が高く、冷たいものはより一層冷たく感じられます。
温かいものも温かいままいただけますが、融点が低いのであまり熱すぎるものには向きません、変形する恐れがあります。(これは次の錫の特徴で説明します)

錫器の効果や使い心地についてのツイートを見つけたので、いくつかご紹介します。

https://twitter.com/hello2k540/status/1561244520582619137?s=53&t=QWX6tnJ_WYyz8_YbsNRDFg

デメリットのようなツイートは特に見当たりませんでした。
皆さんとても満足そうですね。

私たちが普段口にする飲み物を錫器にすることは先人たちの知恵、理に叶ったものと言えます。

【錫の特徴】

錫は融点が低く、摂氏230度で溶けます。

溶鉱炉等の専用設備を使用せず加工できますが、直接火にかける鍋やヤカンの素材には不向きです。

とても柔らかい金属ですので、落とすとすぐに凹んでしまいます。

傷が付きやすいのも事実ですが、壊れてもすぐに作り直すことができるのもまた錫の特徴です。

錫は錆びることはありませんが、経年変化で灰色がかった色合いになっていきます。

それはそれで味わい深いのですが、お手入れ方法は簡単♪

ガーゼのような柔らかい布で拭き上げればまた元の輝きを取り戻します。

優しく根気よく磨いて下さいね。

どうしても戻らない場合は歯磨き粉を少量つけて下さい。

磨いた後はぬるま湯で歯磨き粉のぬめりがなくなるまで洗い流し、さらに乾いた布で拭いてお手入れ完了です。

おすすめの錫器酒器

何を持っておすすめなのかを最初に説明させて下さい。

ヨーロッパやアジアの昔の錫製品には鉛を合わせて加工していた過去があります。

まだ鉛の害が発見出来ていない当時は、錫と鉛を一緒に加工するのが一般的でした。
※鉛中毒という言葉があるほど、鉛は人体にとって毒性の高いものです。錫と鉛の漢字が似ていることから、錫には毒があると勘違いされている方も多いですが、錫は無害で人体に影響を及ぼしません。

そして、装飾用の錫製品には未だに鉛も合わせて使われています。

※錫は柔らかいため、硬度を保つのに他の金属を加えて加工されますが、国産の純錫(錫の純度が高い)製品を作る優秀なメーカー・工房の酒器をおすすめとしてご紹介します。

誤解のないように最初に言っておきます。

紹介する順番については特に意味はありません。
どのメーカーさんも素晴らしい技術で優劣はつけられないのが正直なところです。

【能作】

富山県高岡市
1916(大正5)年創業

国内の鋳物生産トップシェアの高岡市を「鋳物の街」として知らしめた老舗有名メーカーです。

国内外から注目される伝統企業で、KAGOシリーズなど錫の特性を活かした斬新なデザインが魅力的です。

KAGOはその名の通り、曲げてカゴとして使います。

【薩摩錫器 岩切美巧堂】

鹿児島県霧島市
1916(大正15)年創業

レクサス「匠」プロジェクトに抜擢され、日本の古き良きものを自由な発想で作り続ける有名老舗メーカーです。

薩摩切子のような美しいデザインや、吹雪加工という柔らかいデザインの錫器など、デザイン性が豊かなのが特徴です。


【大阪錫器】

大阪府大阪市
1949(昭和24)年創業

創業は昭和ですが、江戸時代後期に京都から大阪に普及した京錫の流れを汲み代々繁栄してきた、現代の名工率いる有名老舗メーカーです。

定期的に感謝祭(セール)を開催し、高級品である錫への敷居の高さを感じさせない、アットホームな雰囲気のメーカーさんです。


【錫光】

埼玉県川口市
1987(昭和62)年創業

先代の中村光山は、大阪出身の錫師でもあり版画家でもあった松下喜山の弟子で「現代の名工」「黄授褒章」を授与されました。
秋篠宮家献上品を制作するなど、他のメーカーと比べて歴史は浅いですが匠の技が光ります。


以上4つのメーカーさんの酒器をご紹介しました。

錫は昔から縁起がよいと言われていて、引き出物にも大変人気があるのだとか。

鹿児島の方なら薩摩錫器のもの、埼玉の方なら錫光を選ぶと言った感じでしょうか。

もし上記のメーカーで選ぶのに迷われたら、

上から1・2番目(能作・薩摩錫器)は洋風テイスト
上から・4番目(大阪錫器・錫光)は和風テイスト

ですので、参考にしてみて下さい。

実際に使ってみた

私が使っているのは能作の片口とぐい呑みです。

金属特有の硬くて冷たい印象とは違います。

お正月に鍋島で乾杯したときの写真です



グッと重みがあり、やわらかい輝きと手に馴染む感じ、手に取った時最初は冷やっとしますがすぐに手と同じ温度になり、他の金属製品とは明らかに違うというのが分かります。

ステンレスの軽くて硬い印象とは真逆で、重厚感のある何とも言えない雰囲気を醸し出します。

私のつたない文章では伝えにくく、これだけは実際にお手に取って確かめていただきたいと思います。
デパートなどの食器類のフロアに普通に置いてありますし、都市部に直営店を出店しているメーカーさんもありますよ♪

日本酒はまろやかで流れるように飲めます。

あくまで私の感覚ですが、いつも飲んでいる陶器のおちょこと比べると甘みも増します。

日本酒だけでなく、ウイスキーや焼酎、ワインまでもがまろやかで甘くなります。

なぜか香りまで変わる気がします。

香りが柔らかくなるというか甘い香りがするんですよね。


お酒だけでなく、お水も同じような感じで変化があります。

錫器が我が家に来てから、朝の白湯を飲む習慣が、錫器に入れた水になりました。

裏技集

ここまで読んでくれたあなたに、錫を使った裏技をご紹介します。

【錫貨幣を使った裏技】

酒器ではありませんが、ここで錫の特徴を利用した裏技を1つ。

昔の日本の貨幣が錫で出来ていた時代があります。

昭和19年の錫貨幣(1銭、5銭、10銭)は錫と亜鉛で出来ていて、そのうち93%が錫、残り7%が亜鉛です。

その硬貨を花瓶に入れておくと、生花が長持ちします。
(亜鉛が混じっていますので、食用には使わないで下さい)

実際に我が家の神棚の榊は錫貨幣をいれてから枯れたことがありません。

水の交換は毎月1日と15日だけですが根っこまで出てくる始末(笑)

榊を買い替えることがなくなりました。

花瓶の下に沈んでいるのが錫貨幣です
めっちゃ根っこが出てます


錫貨幣はもうほとんど価値がない状態です。
今後どうなるかは分かりませんが、今でしたらメルカリで「昭和19年 錫貨」で調べると300円でたくさん出品されています。(2023年1月現在)

高価な錫を安く手に入れることが出来ますし、この小さいサイズ感が花瓶などに入れるのにピッタリです。

本来の用途とかけ離れてしまいますが、ちょっとした小技紹介でした。

昭和19年の5銭

(余談になってしまいますが、この錫貨幣は日本の終戦間際に発行された通貨で、当時主流だった銅やアルミニウムが軍事用に供給されたことで底をつき、その時に採用されたのが錫の臨時貨幣です。本来錫はその柔らかさから貨幣には向かない素材でしたが、東南アジアの植民地から採掘することが出来たので当時の苦肉の策でした。その後植民地からの供給が絶たれ錫までも底をつき、錫に変わり陶器製の貨幣が製造されましたが、それも終戦と同時に廃棄命令が下され、人々の手に渡ることはありませんでした。終戦が近づくにつれて貨幣がどんどん小さくデザインも質素になっていくのを見ると、ひっ迫した当時の生活が垣間見えて胸を締め付けられるような何とも言えない気分になります。ですから正直に言いますと、他に錫貨幣の代用になるようなものをご存じでしたら教えていただきたいです)

【錫製品を安く手に入れる裏技】

大変高価な錫は、一般庶民の私が決して手が出しやすい価格とは言えません。

勘の良い方ならお気付きかもしれませんが、「ふるさと納税」を利用することで、新品の錫製品を実質かなりお安く手に入れることが出来ます。

※ふるさと納税の限度額は人によって差があります。
→限度額簡単シュミレーターはこちら

他にもたくさんの錫製の返礼品が掲載されています。
お好みのものを探してみて下さいね。

楽天市場で見てみる →「ふるさと納税 錫器」の一覧
※Amazonではふるさと納税の取り扱いがありません。

他のふるさと納税のサイトに登録されている方はそちらから探した方が手っ取り早いかもしれません。

あとがき

ここまでいかがでしたか?

錫器で美味しいお酒が飲みたくなってきたでしょう(笑)

錫器で日本酒を出してくれる飲食店はこだわりが凄いと思います。
それだけで信頼しちゃいます♪

「日本酒は錫器で飲むと美味しい」って言うと初心者の方でもツウだと思われますよ♪


錫はメンテナンスをすれば一生ものです。

革でも何でもメンテナンス不要の一生ものは聞いたことがありません。

一生付き合っていくからにはある程度のメンテナンスは必要になりますが、錫のメンテナンスは拭くだけですので心からおすすめします!

興味のある方は是非、錫の酒器でお酒を楽しまれて下さいね!


最後におすすめの記事がありますのでご紹介させて下さい。

どんなお酒も美味しくする魔法のワイングラス「ガブリエルグラス」の記事と、日本酒に超絶合う「痛風盛り」の記事です。

良かったら↓こちらから♪

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